日本では、いまひとつ盛り上がりに欠ける仮想通貨ですが海外では気軽にビットコインを利用できる環境が整っている国が多くあります。アメリカなどの先進国でもビットコインを利用しやすい環境ができている国はありますが、ビットコインが普及しやすいのは政情不安のある国、経済的に安定しない国です。
戦争が長く続いたために政治も経済も不安定なアフリカなどの発展途上国や、発展途上国とはいえないまでも、経済が不安定なギリシャや東ヨーロッパのウクライナ、メキシコなどはビットコインが生活に根ざしつつあります。
発展途上国は金融インフラがあまり発達していません。銀行口座を持てない貧しい人もたくさんいます。発展途上国はハイパーインフレも起こりやすく、パン一つ買うのに大量の札束を抱えて買い物に行かなくてはならない国もあります。ベネズエラのハイパーインフレは1,600%に達するといわれています。
また、経済が不安定な国は常にデフォルトの危機にさらされています。デフォルトが起こると、銀行からお金が引き出せなくなります。引き出せるようになっても、引き出せる額の上限が設けられたりして、不自由な生活を強いられることになります。ひどい場合は、銀行に預けてあったお金を国にとりあげられてしまうこともあります。
銀行預金だけでなく貸金庫に預けてあった貴重品まで取り上げられてしまった国もあります。こういったことがあると『もう国なんて信じられない!』という感情が芽生え、当然、自国の通貨にたいする信用もなくなります。
そこで注目されたのがビットコインをはじめとする仮想通貨です。値段の上がり下がりが激しいということはありますが、ビットコインに資産を逃がしておけば、国に取り上げられることはありません。
また、こういった経済の安定しない国はFinTechが発達しやすいといわれています。FinTechとはfinance(金融)とtecnology(技術)を掛け合わせた造語です。インターネットや人口知能を使って決済や送金をしたり、成功率の高い資産運用を目指します。
ここ数年、FinTechに関連したベンチャー企業が世界中で数え切れないほど立ち上がりました。FinTech関連の企業への投資額もうなぎのぼりです。
アフリカは銀行の数が少なく日本のようにATMも発達していません。銀行に行くには遠いし、何よりも口座を作ろうとすると信じられないくらい高い手数料を取られます。また、送金にも日本とは比べ物にならないくらい手数料がかかるのです。
しかし、仮想通貨であればスマホひとつあれば簡単に安く送金ができます。銀行の発行するお金ではないのですから、わざわざ遠い銀行へ出向いてお金を下ろす必要もありません。
スマホがあれば、現金をもっていなくても取引が可能です。先進国のように投機目的とはまったく違う側面から仮想通貨が注目されているのです。
そもそもビットコイン開発の目的は世界中の誰もが自由に平等に利用できる貨幣を作り出すのが目的だったといわれています。日本では胡散臭い印象の強いビットコインですが、発展途上国は人々の生活を豊かにする方法として注目されているのです。