『ヘルステック』という言葉をご存知でしょうか?なんとなく、最近よく耳にするようになった『フィンテック』に響きが似ていますね。じつはこれはヘルスケアとテクノロジーを掛け合わせた造語です。フィンテックは金融にテクノロジーを導入して新しいサービスを導入しようという試みです。ヘルステックはその医療版というところでしょうか。
フィンテックは日本でも浸透しつつありますが、ヘルステックはほとんど知られていないようです。しかし、海外ではフィンテックに負けないくらい、ヘルステック関連のベンチャー企業がしのぎを削っているのです。は50億ドル近い市場になっているとも言われています。
日本人は健康に気を使う人が多いのに、ヘルステック関連企業はまだありません。どうも需要に供給がおいついていないようです。日本のメディア、教育、医療は三大ガラパゴス産業という声も上がっています。
このヘルステックにもブロックチェーンは欠かせません。病院で診察を受けたさいに医師が記入しているカルテは、患者の健康状態を知る上でとても重要なものです。異なる医療分野や医師と共有できれば効果的な治療ができるかもしれませんが、カルテは重要な個人情報でもあります。
誰かれかまわず公開していいというものではありません。勝手に第三者に改ざんされて、保険金詐欺などの犯罪に悪用されてしまうかもしれません。ここでブロックチェーンの活用が期待されています。
ブロックチェーンは一度、記録されたら改ざんはほぼ不可能です。それでいて情報にアクセスがしやすく、患者が自分の健康管理のためにカルテを利用することも可能になるのです。現代の医師はカルテの入力に時間を取られすぎていることが問題視されています。
また、患者が別の病院で処方された薬を他の病院が知る手がかりは、いまの医療システムではほぼありません。しかし、こういった情報を一緒に書き込めば、無駄な薬を処方する必要もなく、医療費の削減にも繋がります。海外では、ヘルステック企業が次々に電子カルテのソフトを開発しています。
また、ブロックチェーンを医薬品の管理にも応用しようという動きがひろがっています。医薬品は病気の治療になくてはならないものですが、残念ながら発展途上国のような医療インフラが整っていない国では、偽の医薬品が出回ってしまうことがあります。しかし、ブロックチェーンを使って薬が正規のものであると証明できる仕組みをつくれば、偽医薬品を排除できる可能性があります。
IT大国、エストニアは国民の健康・医療の記録管理に試験的にですが、ブロックチェーンを導入しています。エストニアは、婚姻届以外のほとんどの手続きは、わざわざ役所へ出向かなくても手続きができるのです。
日本ではヘルステックの導入はまだ先になりそうですが、将来はどこにいてもスマホがあれば必要な医療ケアが受けられる時代になるのかもしれません。将来起業を考えている人は、日本でライバルが少ないヘルステック関連であれば成功できるかもしれませんよ?